2018年 | プレスリリース?研究成果
皮膚内の微小血管を非侵襲で可視化 -光超音波と超音波を同時に計測が可能に-
【ポイント】
- 皮肤のすぐ下にある微小血管の広がり方を画像化し、非侵袭で酸素饱和度の分布を可视化
- 皮肤のシミやしわなどの老化の程度が分かることで、美容领域への応用が可能
- 2波长光源と超音波送受信を制御し、準リアルタイムのイメージングを実现
【概要】
内閣府 総合科学技術?イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の1つである「イノベーティブな可視化技術による新成長産業の創出」(プログラム?マネージャー:八木 隆行)の一環として、东北大学教授:西條 芳文および株式会社アドバンテスト:増田 則之氏らの研究開発グループは、2波長の光超音波画像と超音波画像を同時に撮影できる、皮膚の「in vivoイメージング技術注1)」の开発に成功しました。
光超音波イメージング法注2)は、生体に光を照射し、光のエネルギーを选択的に吸収した血液などから発生した超音波を测定することで、生体内部を画像化する手法です。従来の技术では困难な、皮肤内の微小血管の测定に适した新たな非侵袭イメージング手法として注目されています。
しかし、光超音波のみを使用するイメージング法では、皮肤内にある直径数十μm以下の微小血管を画像化しても、得られた血管像が皮肤内各层のどの领域にあるのか确认することができませんでした。また、复数波长の光源を用いることで血管の酸素饱和度注3)も计测可能ですが、生体の动きで测定结果に影响するため、その利用は动物実験などの研究用途にとどまっていました。
今回、開発に成功した皮膚のin vivo イメージング技術は、超音波を集束して検出する超音波センサを用いることで光超音波と超音波を同一センサで計測し、2つの波長を交互に照射することで発生する超音波を検出して生体浅部の微小血管網と血中酸素飽和度のイメージングが可能となりました(図1)。約4 分間で深度2mm、6mm角範囲の画像データを取得できます。また、取得したデータを用いて、酸素飽和度のマッピング、光超音波画像と超音波画像を重ね合わせることも可能です。
生検した皮肤の研究から、皮肤のシミやシワなどの皮肤老化が微小血管に関係していることが知られています。开発した光超音波イメージングにより、非侵袭で皮肤の光老化といった身体机能低下のモニタリングなどに応用することが期待されます。

図1 前腕皮肤の测定例。血管の色が青いほど酸素饱和度が低く、赤いほど高い。
【用语解説】

(注1)in vivoイメージング:生体を測定し画像化することです。
(注2)光超音波イメージング法:吸収体にレーザ光を照射し、光を吸収した吸収体が热膨张して発生する超音波(光音响効果)を検出、イメージングする手法です(右図)。
(注3)酸素饱和度:血中の総ヘモグロビンのうち、酸素と结合したヘモグロビンが占めている割合(%)を指します。光超音波イメージングでは、2つの波长で得た音圧から、酸化ヘモグロビン浓度と还元ヘモグロビン浓度を计算し、酸素饱和度を算出します。
问い合わせ先
<研究に関すること>
东北大学 大学院医工学研究科 教授 西条 芳文
Tel:022-795-7148 Fax:022-795-7149
<报道担当>
东北大学 大学院医工学研究科 総务係
罢别濒:022-795-7491