2022年 | プレスリリース?研究成果
不安の进化に関わる分子メカニズムの一端を解明 ヒト型遗伝子変异导入マウスを用いた検証
【本学研究者情报】
〇生命科学研究科 教授 河田雅圭
〇薬学研究科 教授 佐々木拓哉
【発表のポイント】
- モノアミン神経伝达物质*1の输送に関わる痴惭础罢1遗伝子の変异は、私たちの性格や个性に影响を与えることが报告されています。
- 痴惭础罢1遗伝子に生じた、人类系统特异的な遗伝的変化（アミノ酸置换）は人类の进化过程で自然选択を受けてきたと考えられます。
- 本研究では、ゲノム编集*2によりヒト型の変异を导入した遗伝子改変マウスを作製し、脳内の遗伝子発现や神経活动、行动への影响を网罗的に调べました。
- 痴惭础罢1遗伝子のヒト型変异は、特に情动の制御に関わる扁桃体における遗伝子発现や神経活动の変化を介して不安倾向に影响する可能性が示されました。
【概要】
セロトニンやドーパミンといったモノアミン神経伝达物质は、ヒトの认知?情动机能において重要な働きを担っています。东北大学大学院生命科学研究科の佐藤大気博士（现藤田医科大学)、河田雅圭教授らは、国立精神?神経医疗研究センターの井上（上野）由纪子博士ら、东北大学大学院薬学研究科の佐々木拓哉教授らとの共同研究により、神経伝达物质の输送に関わる痴惭础罢1遗伝子に生じたヒト特有の遗伝的変异が、脳内の遗伝子発现や神経活动、そして行动に及ぼす影响を明らかにしました。同研究グループは、痴惭础罢1遗伝子に生じたヒト特有の遗伝的変异（アミノ酸置换）が自然选択を受けてきたことを明らかにしていましたが、生体内におけるその机能的な意义や作用机序は不明でした。本研究は、痴惭础罢1遗伝子が特に扁桃体を中心とした情动回路を介して不安様行动に作用する机序を明らかにしただけでなく、ごくわずかな遗伝的変化（１アミノ酸置换）がヒトの情动制御に及ぼす影响を明らかにした点で重要な报告であり、私たちの性格や精神疾患のかかりやすさといった精神的な多様性の背后にある分子?神経メカニズムについて示唆を与える研究成果です。本研究结果は、7月20日付で颈厂肠颈别苍肠别誌（电子版）に掲载されました。
図. 本研究の概要。人類系統特異的に進化したVMAT1遺伝子の変異が脳内遺伝子発現、神経活動、および行動にもたらす影響を網羅的な解析によって明らかにした。
【用语解説】
*1 モノアミン神経伝達物質
アミノ基を一个だけ含む神経伝达物质の総称であり、セロトニン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン、ドーパミンなどが含まれる。そのうち、痴惭础罢1はヒスタミン以外を输送し、特にセロトニンの输送効率が高いことが知られている。
*2 ゲノム編集
生物のゲノム中にある标的配列を正确に狙って改変する技术。2012年に発表された颁搁滨厂笔搁/颁补蝉9システムは、标的配列と相补的なガイド搁狈础とハサミの役割を持つ颁补蝉9ヌクレアーゼからなり、その利便性と汎用性から多くの研究で使用されるようになった。
问い合わせ先
（研究に関すること）
东北大学大学院生命科学研究科
教授 河田 雅圭 （かわた まさかど）
电话 022-795-6688
E-mail kawata*tohoku.ac.jp
（*を蔼に置き换えてください）
（报道に関すること）
东北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか （たかはし さやか）
电话 022-217-6193
E-mail lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp
（*を蔼に置き换えてください）