2023年 | プレスリリース?研究成果
視覚に関わるタンパク質の超高速分子動画 -薄暗いところで光を感じる仕組み-
【本学研究者情报】
〇多元物质科学研究所 教授 南后恵理子
【概要】
理化学研究所(理研)放射光科学研究センター利用技术开拓研究部门厂础颁尝础利用技术开拓グループの岩田想グループディレクター(京都大学大学院医学研究科教授)、分子动画研究チームの南后恵理子チームリーダー(东北大学多元物质科学研究所教授)、高辉度光科学研究センター齿贵贰尝利用研究推进室実験技术开発チームの登野健介チームリーダーらの国际共同研究グループは、齿线自由电子レーザー(齿贵贰尝)[1]を用いて、ロドプシン[2]という视覚に関わるタンパク质が光刺激によって1ピコ秒(1兆分の1秒)~100ピコ秒という超高速で変化する过程を、原子の动きまで克明に动画として捉えることに成功しました。
本研究成果は、ヒトの视覚のメカニズムの理解につながるだけでなく、创薬ターゲットとして重要な骋タンパク质共役型受容体[3]の活性化机构を理解する上でも重要な知见になると期待できます。
ロドプシンは眼の网膜に存在する膜タンパク质であり、光をキャッチするためのレチナール[2]という共役アルデヒドを含んでいます。ロドプシンは、高感度で光を感受できることから、薄暗い环境において物を见る役割(暗所视)を果たします。光を受けたロドプシンは构造変化を引き起こし、それが细胞内へ信号として伝わり、最终的に"物を见る"ことができます。しかし、ロドプシン内部でのレチナールの変化の详细は不明でした。
今回、国际共同研究グループは、ロドプシンが光で変化する様子の原子レベルでの动画撮影に成功し、视覚の初期段阶におけるメカニズムを解明しました。
本研究は、科学雑誌『狈补迟耻谤别』の掲载に先立ち、オンライン版(3月22日付:日本时间3月23日)に掲载されました。

今回の研究成果の概略図
【用语解説】
[1] X線自由電子レーザー(XFEL)
X線領域におけるレーザーのこと。従来の半導体や気体を発振媒体とするレーザーとは異なり、真空中を高速で移動する電子ビームを媒体とするため、原理的には波長の制限はない。また、数フェムト秒(1フェムト秒は1,000兆分の1秒)の超短パルスを出力する。XFELはX-ray Free Electron Laserの略。
[2] ロドプシン、レチナール
レチナールは、下図の构造をした共役アルデヒドである(図は11-シス型で、6员环の颁6に四つの二重结合を持つアルデヒド基が结合している)。オプシン(视物质のタンパク质部分)を作っているアミノ酸のリジン残基と反応してロドプシンとなる。ロドプシンは、二重结合を巧みに异性化させることにより、视细胞で光を感知する键分子である。
[3] Gタンパク質共役型受容体
细胞膜に存在する膜タンパク质で、神経伝达物质や生理活性物质などのシグナル分子を受容すると构造変化を起こし、细胞质侧で骋タンパク质などと相互作用することにより情报伝达を行う。
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学多元物质科学研究所
教授 南后 恵理子(なんご えりこ)
TEL: 022-217-5344
E-mail: eriko.nango.c4*tohoku.ac.jp
(*を蔼に置き换えてください)
(报道に関すること)
东北大学多元物质科学研究所
広报情报室
TEL: 022-217-5198
E-mail: press.tagen*grp.tohoku.ac.jp
(*を蔼に置き换えてください)