2023年 | プレスリリース?研究成果
生物の脳神経回路の構造を模した培養系モデルを開発 ─モジュール構造の機能的意義に関する新視点を提供─
【本学研究者情报】
〇电気通信研究所 准教授 山本英明
【発表のポイント】
- 微细加工基板上でラット大脳皮质の神経细胞を培养し大脳皮质を特徴づける「モジュール构造」(注1)をもつ神経回路を构筑しました。
- モジュール构造をもつ培养神経回路(注2)では、外部からの非同期的な入力に対する感受性が上がり、神経活动の同期性を高めたり下げたりしやすくなることを明らかにしました。
- 脳情报処理における非同期的な信号やモジュール构造の机能的意义に関する新しい视点を提供します。
【概要】
哺乳类の大脳皮质においては、复数の神経细胞が同期して活动する状态と细胞がそれぞれ个别に発火する状态の均衡が保たれていると言われています。このような発火状态は、他の领域から受け取る信号と大脳皮质のネットワークの构造の相互関係によって制御されていると考えられますが、これを系统的に検証するための有効な実験系が存在しませんでした。
东北大学电気通信研究所の山本英明准教授と平野爱弓教授(材料科学高等研究所兼担)らの研究チームは、スペインのバルセロナ大学とグラナ大学およびドイツのマックスプランク研究所と共同で、微细加工したガラス基板上でラット大脳皮质の神経细胞を培养し、このような现象を调べるための独自の実験系を构筑しました。そして、哺乳类の大脳皮质で见られる「モジュール性」という特徴を强く持った培养神経回路ほど外部入力に対する感受性が强くなり、培养神経回路特有の过剰な同期が崩されやすくなることを明らかにしました。さらに、一连の実験结果を説明するシミュレーションモデルを构筑し、入力を常时受けることによってシナプス伝达で放出される神経伝达物质が减少することが键になっていることを突き止めました。
この研究は生物が进化の过程で保存してきた回路构造の机能的意义を明らかにするものであり、その特徴を工学的に活用した新しい医工学デバイスや人工ニューラルネットワークモデルの提案などへとつながることが期待されます。
本研究成果は、2023年8月25日(米国時間)に国際科学誌Science Advancesに掲載されました。

図1. 構築した実験系の模式図(左)とモジュール構造型培養神経回路の顕微鏡写真(右)。黄色で囲った領域に含まれる神経細胞に刺激を印加した。
【用语解説】
注1. モジュール構造
密に结合した集団(モジュール)が全体の中に复数存在しているようなネットワークの构造.生物の脳神経系の特徴の1つとして,进化的に保存されていることが知られている.
注2. 培養神経回路
実験动物の脳から採取した神経细胞をシャーレ内で育てて形成した回路.微细加工を施した特殊な表面上で细胞を培养することで,生物の脳に近い配线构造をシャーレ上に再构成することができる
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学电気通信研究所
准教授 山本英明
TEL: 022-217-6102
E-mail: hideaki.yamamoto.e3*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(报道に関すること)
东北大学电気通信研究所 総務係
TEL: 022-217-5420
E-mail: riec-somu*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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