2024年 | プレスリリース?研究成果
乳がんに対するがん特異的抗体開発に世界で初めて成功 ?副作用のない抗体医薬品開発に期待?
【本学研究者情报】
〇大学院医学系研究科分子薬理学分野 教授 加藤幸成
【発表のポイント】
- ヒト上皮细胞増殖因子受容体2(贬贰搁2)(注1)を标的とする抗体医薬(注2)HER2-CasMab(注3)を作製しました。
- 贬贰搁2-颁补蝉惭补产は、がん细胞だけに反応し、正常の上皮细胞には全く反応しませんでした。
- 贬贰搁2-颁补蝉惭补产は乳がんに対し、広く使用されているトラスツズマブと同等の抗肿疡効果を示したことから、乳がんに対する副作用のない治疗法の开発につながると期待されます。
【概要】
细胞の増殖に関与するとされるタンパク贬贰搁2に対する抗体医薬であるトラスツズマブ(ハーセプチン?)(注4)は世界中で使用されており、乳がんや胃がんの患者で高い効果を示しています。ただし、正常细胞に対しても高い反応性を示すため、特に心臓に対する副作用が报告されています。そのため、贬贰搁2に対するがん细胞を特异的に攻撃する抗体医薬の开発が临床现场で求められていました。
东北大学大学院医学系研究科分子薬理学分野の加藤幸成教授らの研究グループは、がん細胞を特異的に攻撃する抗体医薬(CasMab)の開発を行ってきました。本研究では新たに、ヒト上皮细胞増殖因子受容体2(贬贰搁2)を標的とするHER2-CasMabを作製しました。今回開発した贬贰搁2-颁补蝉惭补产は、がん细胞だけに反応し、正常の上皮细胞には全く反応しませんでした。さらに、HER2-CasMabは乳がんに対し、トラスツズマブと同等の抗腫瘍効果を示したことから、乳がんに対する副作用のない治療法の開発が期待されます。
本研究結果は、2024年2月5日、科学誌International Journal of Molecular Sciences に掲載されました。

図1. HER2-CasMabは正常細胞には全く反応しない(免疫組織染色)
【用语解説】
注1. ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(HER2;ハーツー):細胞の増殖に関与するとされるタンパク質のひとつ。正常な細胞にも存在し、細胞の増殖調節能を担っていると考えられるが、過剰に発現したり、活性化したりすることで細胞の増殖制御ができなくなりがん化する。HER2陽性率が高い腫瘍としては、乳がんや胃がんなどがある。
注2. 抗体医薬:抗体とは、リンパ球のうち、B細胞が産生するタンパク質で、特定の分子(抗原)を認識して結合する。血液中や体液中に存在し、細菌やウイルスなどの微生物に結合すると、白血球による貪食が起こる。がん細胞に結合しがん細胞を殺す働きもあり、多くの抗体医薬品が臨床で使用されている。
注3. CasMab(キャスマブ):Cancer-specific monoclonal antibody(がん特異的抗体)の略で、2014年に东北大学の本研究室が世界で初めて発表した(商標:第5690178号)。がん細胞と正常細胞に発現する膜タンパク質のアミノ酸配列が100%同一であっても、がん細胞に特徴的な構造の違いを認識する。
注4. トラスツズマブ(ハーセプチン?):贬贰搁2に対する抗体医薬のひとつ。贬贰搁2阳性の乳がんは、以前は难治性の乳がんとされていたが、トラスツズマブが导入され、治疗成绩は大幅に改善された。
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学大学院医学系研究科分子薬理学分野
教授 加藤 幸成(かとう ゆきなり)
罢贰尝 022-717-8207
Email: yukinari.kato.e6*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(报道に関すること)
东北大学大学院医学系研究科?医学部広报室
东北大学病院広报室
TEL: 022-717-8032
Email: press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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