2024年 | プレスリリース?研究成果
資源が豊富なマグネシウムと紙から低環境負荷の新型電池を開発 塩水で駆動、ウェアラブルSpO2测定器や骋笔厂センサー用電源に応用
【本学研究者情报】
〇材料科学高等研究所 教授 藪浩
【発表のポイント】
- 安全な触媒と纸、マグネシウムをベースに「金属空気纸电池」を作製しました。
- 塩水をトリガーに1.8痴の电圧と100尘奥/肠尘2以上の出力を実现しました。
- ウェアラブル酸素饱和度厂辫翱2测定器(注1)や骋笔厂(注2)センサー用电源への応用が可能であることを実証しました。他にも様々なウェアラブルデバイスや非常用电源などへの応用が期待されます。
【概要】
次世代のエネルギーデバイスには、高出力?高容量だけでなく环境负荷が低いことも求められます。しかし一般的な电池には、环境负荷が高くて资源量に制限のある様々な重金属やプラスチックが材料として多用されてきました。
东北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の藪浩教授(主任研究者、同研究所水素科学GXオープンイノベーションセンター副センター長)、電力中央研究所の小野新平上席研究員、东北大学発ベンチャーのAZUL Energy株式会社(宮城県仙台市、伊藤晃寿社長)、英国のスタートアップであるAMPHICO(アンフィコ、登記名:Amphibio Ltd、英国ロンドン、亀井潤社長)からなる研究グループは、燃料電池と金属空気電池の一種であるマグネシウム空気電池(注3)を独自の安全な電極触媒と紙をベースに作製し、環境負荷の高い重金属やプラスチックをほとんど使わず、塩水という身近な材料をトリガーにウェアラブルデバイスを駆動するのに十分な1.8 Vの電圧と100 mW/cm2以上の出力、968.2 Wh/kg(Mg)の容量を示す高性能な「金属空気纸电池」を実现しました。
本电池は塩水をトリガーとして発电します。この特徴を活かし、コロナウイルス感染に伴う血中酸素浓度の低下を监视するウェアラブルな厂辫翱2测定器の電源として、また、溺れた際に要救助者の位置を特定するGPSセンサーを搭載したスマートライフジャケットの電源として利用できることを実証しました。
本电池は高性能でありながら、土壌や海水中に豊富に存在するマグネシウム、安全な触媒、纸、炭素など、环境に优しい素材で构成されているため、廃弃时の环境负荷が非常に低く安全であり、様々なウェアラブルデバイスや非常用电源などへの応用が期待されます。
本研究成果は、現地時間の3月18日に英国化学会による科学誌RSC Applied Interfacesのオンライン速報版に掲載され、同誌のoutside coverにも採択されました。

図1. 金属空気紙電池の模式図と性能(左)、及び様々なウェアラブルデバイスへの実装(右上)。右下は用いた正極触媒の作製方法。
【用语解説】
注1. SpO2测定器
パルスオキシメーターとも呼ばれ、动脉における酸素饱和度(厂辫翱2)を测定する医疗机器。酸素に结合したヘモグロビンとしていないヘモグロビンでは色が异なることから、波长の异なる光を当ててセンサーが受け取るそれぞれの光の量を比较して饱和度を算出する。
注2.骋笔厂
Global Positioning Systemの略で、米国防総省が開発した代表的な衛星測位システム(GNSS)。人工衛星を利用して現在位置を測定するシステムで、受信機が複数の衛星から電波を受信することで緯度?経度?高度を割り出すことができる。GNSSには他に日本の「みちびき」、EUのGalileo、ロシアのGLONASS、中国の「北斗」、インドのNAVICがある。
注3. マグネシウム空気電池
负极材料にリチウムより豊富なマグネシウムを用いた电池。水や食塩水を注ぐことで発电する。长期保存可能な使い切りの一次电池は実用化されており、非常用や灾害用として贩売されている。一方、繰り返し充放电できる二次电池は、次世代の蓄电池の1つとして注目されている。
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学材料科学高等研究所 (WPI-AIMR)
教授 藪 浩(やぶ ひろし)
TEL: 022-217-5996
Email: hiroshi.yabu.d5*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(报道に関すること)
东北大学材料科学高等研究所 (WPI-AIMR)
広报戦略室
TEL: 022-217-6146
Email: aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
东北大学は持続可能な开発目标(厂顿骋蝉)を支援しています