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不規則なガラス構造に隠された規則性 原子の柱が作り出す密度の"むら"の構造抽出に成功

【本学研究者情报】

〇未踏スケールデータアナリティクスセンター
教授 志賀元紀

【発表のポイント】

  • 最先端の电子顕微镜法の1つであるオングストロームビーム电子回折法1を用いて、シリカ(SiO2)ガラス2の非常に细かい构造を直接観察することに成功した。
  • ガラスに存在する原子のナノスケール柱状构造3及びその配列に関係した复数の异なる周期性を発见した。
  • これらの柱状构造がほぼ周期的に配列することで「拟格子面4」と呼ばれる面状の领域が形成され、これにより古くから议论されてきたガラスの「FSDP5(First Sharp Diffraction Peak)」と呼ばれる特徴的な回折ピークの起源を解明した。
  • この柱状构造の配列は、ガラスにおける密度の"むら"(密度ゆらぎ)と密接に関係しており、例えば、ガラスを电池用材料、窓ガラス、光ファイバーとして利用する际のイオン伝导特性、强度、光学特性の改善に繋がる基础として重要となる。

【概要】

 早稲田大学理工学術院教授 平田秋彦(ひらたあきひこ)、东北大学未踏スケールデータアナリティクスセンター教授 志賀元紀(しがもとき)、物質?材料研究機構マテリアル基盤研究センターグループリーダー 小原真司(こはらしんじ)らの研究グループ(以下、本研究グループ)は、オングストロームビーム電子回折法を用いることで、ナノスケール柱状構造がほぼ等間隔に並んで形成される局所秩序構造を、一見不規則な構造を持つとされる、もっとも一般的なガラス材料であるシリカ(SiO2)ガラスの中に见い出しました。この秩序构造は、复数の异なる周期からなる密度ゆらぎを含む复雑な构造であることがわかりました。このような柱状构造配列の発见は、ガラス构造の科学に新たな视点を与え、さらに、柱状构造配列が作る密度ゆらぎの理解は、ガラス材料の特性や性能を制御するために欠かせない知见となると考えられます。

 本研究成果は、Springer Nature社発行の科学ジャーナル『NPG Asia Materials』誌に、2024510日(金)(現地時間)にオンラインで掲載されました(論文名:Direct observation of the atomic density fluctuation originating from the first sharp diffraction peak in SiO2 驳濒补蝉蝉)。

1.オングストロームビーム电子回折実験を用いた観察による、シリカガラス中に存在するナノスケール柱状构造の局所的な拟周期配列の発见。

【用语解説】

※1. オングストロームビーム電子回折法
ガラス构造の局所领域から回折パターン(物质に波を当てたときに得られる干渉パターン)を取得するための透过电子顕微镜を用いた実験方法。通常、マイクロビームあるいはナノビーム电子回折と呼ばれるが、ガラス构造の観察には特にオングストロームスケール(1nm以下)での観测が本质的に重要となるため、このように呼んでいる。ガラス构造の10nm以上の十分に広い领域から回折パターンを取得した场合は、ハローリングと呼ばれる复数の回折リングが见られるが、领域が1nm以下になると回折スポットを呈するようになり、これが局所构造を反映していると考えられる。

※2. シリカガラス
シリコンと酸素から成り厂颈翱2の化学组成を持つガラス物质のこと。ガラスとは通常液体状态が冷却されて过冷却状态になり、さらなる冷却により粘性が极度に高まることで得られる固体状の物质を指す。过冷却液体からガラスへの転移をガラス転移といい、体积の温度に対する変化率(热膨张係数)等が「ガラス転移が起こる温度(ガラス転移点)」を境に変化する。このガラス状态の原子配列に本研究では特に着目しており、それは结晶のような规则性を持たない不规则なものである。

※3. ナノスケール柱状構造
本研究において、シリカガラスの中に见いだされた原子が结合してできた2苍尘程度の长さを持つ直线状の构造。これは独立して存在するわけではなく、ブリッジ原子と呼ぶ原子によってお互いに接続されている。また、同じ领域に対して他の方向から见た场合に、その入射方向に沿って别の柱状构造が存在する可能性もあり、この特徴は结晶构造の场合と同様である。

※4. 擬格子面
结晶学や固体物理学では、原子が规则正しく并んだ结晶构造において、周期性を反映する格子という概念を考え、それを基に原子を置いていくことで结晶が作られるとする。この格子中に作られる周期的に配列される面が格子面であり、结晶构造に齿线、电子线、中性子线のような波长の短い波をあてた场合、格子面の间隔がある条件を満たすと波が强めあう性质があるため、この概念が重要となる。一方、ガラスなどの不规则な构造では、このような明瞭な格子面は存在しないが、局所的にある程度の规则性を示す部分があり、これを拟格子面とここでは呼んでいる。拟格子面の存在は、结晶のおける格子面と同様に波が强め合う原因となると考えられている。

※5. FSDP
First Sharp Diffraction Peakの略。シリカガラスのような化学結合によるネットワークから構成されるガラス構造に対し、X线、电子线、中性子线のような波长の短い波をあてることにより现れる回折ピーク(Diffraction Peak)のうち、もっとも小さい回折角で観测されるもの。低角侧から数えて最初に出现するピークであり、ガラスのような非晶质物质にしてはシャープであるため、この名前がついている。このピークに対応する距离スケールは4?前后であり、原子间距离のスケールより2倍程度大きいことが特徴である。つまり、原子の结合よりも大きいスケールの构造を反映したものであると考えられる。

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问い合わせ先

(研究に関すること)
东北大学未踏スケールデータアナリティクスセンター
教授 志賀元紀
罢贰尝:022-752-2205
贰-尘补颈濒:尘辞迟辞办颈.蝉丑颈驳补.产4*迟辞丑辞办耻.补肠.箩辫(*を蔼に置き换えてください)

(报道に関すること)
东北大学情报部デジタルサービス支援课総务係
罢贰尝:022-795-3407
贰尘补颈濒:cc-som*grp.tohoku.ac.jp(*を蔼に置き换えてください)

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