2024年 | プレスリリース?研究成果
「分子をまぶす」アプローチでスーパーキャパシタを実現 ─高価なナノ炭素不要で多分野への普及に期待─
【本学研究者情报】
〇材料科学高等研究所 教授 藪浩
【発表のポイント】
- 酸化还元能のある颜料分子を安価な活性炭に分子吸着させたキャパシタ用电极を作製しました。
- 炭素単体の場合に比べ6倍となる比静電容量907 F/gAC(注1)を达成しました。
- 20,000回の充放电サイクルと尝贰顿点灯などに必要な电力供给を実现しました。
【概要】
电気二重层キャパシタ(注2)は、电极の表面に电気を蓄えることで素早く充电や放电ができるため、高出力のエネルギーデバイスとして注目されていますが、蓄电池と比べて容量が小さいという课题がありました。近年、カーボンナノチューブ(颁狈罢)などのナノ炭素材料を使って表面积を増やした容量の大きいスーパーキャパシタが开発されています。しかしナノ炭素は一般的に高価であり、より简単で安価にキャパシタの容量を増やす方法が求められていました。
东北大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の藪浩教授(主任研究者、同研究所水素科学GXオープンイノベーションセンター副センター長)、东北大学発ベンチャーであるAZUL Energy株式会社(宮城県仙台市、伊藤晃寿社長)、および4月1日に両者が共同で設置したAZUL Energy×东北大学 バイオ創発GX共創研究所からなる研究グループは、青色顔料の一種である鉄アザフタロシアニン(FeAzPc-4N)を活性炭に「まぶす」ことで分子レベルで吸着させ、その酸化還元能を活用することにより、炭素のみの場合に比べ容量を2.6倍(907 F/gAC)まで増加させることに成功しました。さらに20 A/gACという高负荷领域においても20,000回の充放电サイクルが可能であり、尝贰顿点灯などが可能であることを実証しました。(図1)。
本研究で开発されたキャパシタ电极は、一般的に入手可能で安価な活性炭を使用しながら、颁狈罢等を用いたスーパーキャパシタ并に容量を引き上げることが可能であり、様々な用途へのエネルギーデバイスとして応用が期待されます。
本研究成果は、6月20日(米国東部時間)に米国化学会発行の科学誌ACS Applied Materials Interfacesオンライン速報版に掲載され、同誌のSupplementary Coverにも採用されました。

図1. 鉄アザフタロシアニン分子を分子吸着した活性炭の模式図(上)と容量?活性炭単体に対する容量増加率(左下)、20 A/gACで充放电を繰り返した场合の容量と容量维持率(下中央)、キャパシタセル2つを直列につないだ简易充放电セルによる尝贰顿の点灯実験(右下)。
【用语解説】
注1.F/g, F/gAC
贵は静电容量の単位である「ファラド」を表し、1クーロン(颁)の电気量を充电したときに1ボルト(痴)の直流の电圧を生ずる2导体间の静电容量を示す。したがって贵/驳は电极重量あたりの重量を示す。贵/驳ACは电极に用いる活性炭の重量当たりの容量を示す。
注2. 电気二重层キャパシタ
コンデンサとも言う。電気二重層は、2 つの異なる相(例えば固体電極と電解液)が接触する界面近傍で、正か負の電荷や電解質イオンが薄い層として並ぶ現象。电気二重层キャパシタはこの現象を利用する蓄電デバイス。構造は電極?集電体、電解液、セパレータ、絶縁パッキンから成る。充電時に電極と逆極性の電解質イオンを電極の表面に物理的に吸着させて電気二重層を形成し、放電時に脱離させる。二次電池と異なり充電?放電の際に化学反応を伴わないため、電極の劣化がほとんどなく、長期にわたって使用できる。
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学材料科学高等研究所 (WPI-AIMR)
教授 藪 浩(やぶ ひろし)
TEL: 022-217-5996
Email: hiroshi.yabu.d5*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(报道に関すること)
东北大学材料科学高等研究所 (WPI-AIMR)
広报戦略室
TEL: 022-217-6146
Email: aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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