2025年 | プレスリリース?研究成果
遗伝性がんのゲノム解析结果を一般住民に返却 个别化ゲノム予防?医疗の社会実装に向けた大きな一歩
【本学研究者情报】
〇東北メディカル?メガバンク機構 遗伝情报回付推进室长 教授 大根田 絹子
【発表のポイント】
- 东北メディカル?メガバンク(罢惭惭)计画(注1)で取得した5万人のゲノム情报をもとに、遗伝性がん(遗伝性乳がん卵巣がん症候群:贬叠翱颁(注2)とリンチ症候群:尝厂(注3))のリスク保有者97人にゲノム解析结果を返却しました。
- がんの予防や早期発见のため78人が医疗机関を受诊し、6人が贬叠翱颁のリスク低减手术を受け、3人にがんが无症状の段阶で见つかりました。遗伝性がんのリスクを知ったことにより不安やストレスが増加した人はごくわずかでした。医疗费や通院の负担などを理由に19人が医疗机関受诊を希望しませんでした。
- 一般住民を対象とした研究でこれだけ大规模にゲノム解析结果の返却を実施したのは日本では初めてであり、个别化予防?医疗につながる先駆的な取り组みです。一人ひとりがゲノム解析结果を知り、自身のヘルスケアに活用する未来を実现するための大きな一歩となります。
【概要】
ゲノム情报に基づく个别化予防?医疗の実现が求められています。しかし、ゲノム情报の解析结果を一般住民に返却する取り组みは世界的にもほとんど行われてきませんでした。今回、东北大学东北メディカル?メガバンク机构ゲノム予防医学分野の大根田绢子教授らは、罢惭惭计画で解析した约5万人の全ゲノム解析情报(注4)をもとに、遗伝性がんのリスクを保有する97人を対象に、ゲノム解析结果を个别に返却した上で、ゲノム情报を知った一般住民の意识や行动に関する调査を実施しました。返却した人のうち78人が、がんの予防や早期発见のために医疗机関を受诊しました。ゲノム情报を知ったことによって不安やストレスが増加する倾向は见られませんでした。19人は医疗费や通院の负担などを理由に医疗机関の受诊を希望しませんでした。
本研究では、研究のために取得したゲノム情报を一般住民に返却し、病気の予防や早期発见につなげるプロトコルを构筑しました。本研究は、个别化ゲノム予防?医疗の社会実装に向けた大きな一歩です。
本成果は科学誌Journal of Human Genetics誌電子版に1月17日付で掲載されました。

図1. ゲノム解析结果返却プロトコルと参加人数
バイオバンクに试料を提供し全ゲノム解析が行われた一般住民(青)のうち、遗伝性がんの病的バリアント保有者に希望调査や対面での説明(紫)により解析结果を返却した。その后参加者の一部は医疗机関(黄)で予防や早期発见のための検査を実施している。
【用语解説】
注1. 东北メディカル?メガバンク(罢惭惭)计画:日本最大の一般住民ゲノム?コホート調査を実施しており、次世代医療の実現に貢献するため、個人のゲノム情報に紐づく多様なデータから複合バイオバンクを構築し、長期追跡している。
注2. 遺伝性乳がん卵巣がん症候群(hereditary breast and ovarian cancer : HBOC):BRCA1またはBRCA2遺伝子に病的バリアントを持つことで、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がんなどに罹りやすくなる病態。HBOCの病的バリアント保有者には、リスク低減手術として、がんに罹患していない乳房を予防的に切除する対側リスク低減乳房切除術(Contralateral risk reducing mastectomy; CRRM)や、卵巣?卵管を切除するリスク低減卵巣?卵管切除術(risk reducing salpingo-oophorectomy:RRSO)が行われる場合もある。2020年4月から、乳がんや卵巣がんを発症したHBOCの診療の一部が保険収載された。
注3. リンチ症候群(Lynch Syndrome: LS):ミスマッチ修復遺伝子とよばれる4つの遺伝子(MLH1, MSH2, MSH6, PMS2)のいずれかに病的バリアントを持ち、大腸がんや子宮体がんなどに罹りやすくなる病態。
注4. 全ゲノム解析情報:ゲノムの塩基配列情報を非遺伝子部分も含めて可能な限りすべて解析した情報。
【论文情报】
タイトル:Returning genetic risk information for hereditary cancers to participants in a population-based cohort study in Japan(日本における一般住民コホート参加者を対象とした遺伝性がんの遺伝的リスク返却)
著者:Kinuko Ohneda, Yoichi Suzuki, Yohei Hamanaka, Shu Tadaka, Muneaki Shimada, Junko Hasegawa-Minato, Masanobu Takahashi, Nobuo Fuse, Fuji Nagami, Hiroshi Kawame, Tomoko Kobayashi, Yumi Yamaguchi-Kabata, Kengo Kinoshita, Tomohiro Nakamura, Soichi Ogishima, Kazuki Kumada, Hisaaki Kudo, Shin-ichi Kuriyama, Yoko Izumi, Ritsuko Shimizu, Mikako Tochigi, Tokiwa Motonari, Hideki Tokunaga, Atsuo Kikuchi, Atsushi Masamune, Yoko Aoki, Chikashi Ishioka, Takanori Ishida, Masayuki Yamamoto
*责任着者:东北大学东北メディカル?メガバンク机构 教授 大根田绢子、东北大学东北メディカル?メガバンク机构 教授 山本雅之
掲載誌:Journal of Human Genetics
顿翱滨:
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学东北メディカル?メガバンク机构
遗伝情报回付推进室长
教授 大根田绢子(おおねだ きぬこ)
TEL: 022-274-5990
Email: kinuko.ohneda.a6*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(报道に関すること)
东北大学东北メディカル?メガバンク机构
広报戦略室长
教授 长神风二(ながみ ふうじ)
TEL: 022-717-7908
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