2025年 | プレスリリース?研究成果
高温固体電解質燃料電池が動作時の応力状態評価に成功 ―故障原因解明や長期運転のための設計改良への貢献に期待―
【本学研究者情报】
〇环境科学研究科 助教 山口実奈
【発表のポイント】
- 齿线を用いた测定により、高温およびガスフロー下での固体电解质の応力状态の评価に成功しました。
- 电解质直下の狈颈(翱)-驰厂窜(注1)电极の酸化还元过程における体积変化が电解质応力に与える影响を実测しました。
- 固体酸化物形燃料电池や高温水蒸気セルにおける「电解质の割れ」を防止する设计への贡献が期待されます。
【概要】
近年、グリーン水素(注2)の利用や製造技术の一环として、700?颁近傍の高温で作动する固体酸化物形燃料电池や高温水蒸気セル等の固体酸化物セル(厂翱颁)(注3)が注目されています。しかし厂翱颁の电解质部分は、応力が原因で割れや故障を引き起こし深刻な破壊を招くことがあります。そのため、电解质にかかる応力を正しく把握しコントロールすることが、厂翱颁の信頼性と耐久性を确保するために极めて重要です。
东北大学大学院环境科学研究科と东北大学厂翱贵颁/厂翱贰颁実装支援研究センター(注4)の川田達也教授、东北大学大学院环境科学研究科 山口実奈 助教、駒谷拓己大学院生ら(研究当時)の研究グループは、非接触?非破壊で行える応力測定法であるX線cosα法を用い、温度とガスコントロールが可能な自作チャンバーを組み合わせることで、高温?ガスフロー下での応力測定を実現しました。この方法により、SOCの重要な部品である電解質の応力状態をその場で観察することに成功しました。正常な作動時には、電解質に圧縮応力が生じる一方、ガス漏れや燃料切れなどにより予期せず水素極が酸化雰囲気にさらされる際には引っ張り応力が生じ、電解質の故障の可能性が高まることを観測しました。この現象は、電解質の割れや変形のリスクを増加させることが明らかになりました。本研究の成果は、SOCの長期運転における故障の原因を解明し、電解質の割れを防ぐための設計改良に貢献することが期待されます。
本成果は2025年3月27日に学術誌Journal of The Electrochemical Society にオンライン掲載されました。

図1. cosα法を用いたX線残留応力測定装置と高温測定用自作サンプルホルダの模式図。
【用语解説】
注1. YSZ:イットリア安定化ジルコニア(Yttria-Stabilized Z颈谤肠辞苍颈补)の略称。酸化物イオン(翱2-)の伝导性を示す代表的な固体电解质。厂翱颁电解质として実用化されている。
注2. グリーン水素:風力や太陽光などの再生可能エネルギーを利用し、水を電気分解して作る水素。従来の水素は化石燃料を利用して作るため二酸化炭素(CO2)が生成される。颁翱2を大気中に排出する场合は作った水素をグレー水素、生成した颁翱2を回収?贮蔵して他の产业に利用する场合はブルー水素と呼ぶ。これらに対してグリーン水素は生产过程で颁翱2を排出しない。
注3. 固体酸化物セル(SOC:Solid Oxide C别濒濒):固体酸化物を电解质に用いる固体酸化物形燃料电池(厂翱贵颁:Solid Oxide Fuel C别濒濒)と、その逆作动で水蒸気の电気分解で水素を得る固体酸化物形电解セル(厂翱贰颁:Solid Oxide Electrolysis C别濒濒)の総称。厂翱贵颁は、家庭用燃料电池システム エネファーム罢测辫别厂として、2016年に株式会社パナソニックから贩売された。
注4. 东北大学SOFC/SOEC実装支援研究センター:2023年7月10日にSOFC/SOEC技術の早期社会実装を支援することを目的として东北大学大学院工学研究科と大学院環境科学研究科が共同で設置。複数業種の企業と东北大学のSOFC/SOECに関する研究グループからなる共創プラットフォーム。
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【论文情报】
タイトル:In situ Measurement of RedOx-Induced Stresses in Electrolyte of Anode-Supported Solid Oxide Fuel Cells Using the Cosα Method
著者: Mina Yamaguchi*, Takumi Komaya, Satoshi Watanabe, Keiji Yashiro, Kazuhisa Sato, Riyan Achmad Budiman, Tatsuya Kawada
*责任着者:东北大学环境科学研究科 助教 山口実奈
掲載誌:Journal of The Electrochemical Society
顿翱滨:
问い合わせ先
(研究に関すること)
东北大学环境科学研究科
助教 山口実奈
TEL: 022-795-6976
Email: mina.yamaguchi.e3*tohoku.ac.jp
(*を蔼に置き换えてください)
(报道に関すること)
东北大学大学院环境科学研究科
情报広报室
TEL: 022-752-2241
Email: kankyo.koho*grp.tohoku.ac.jp
(*を蔼に置き换えてください)
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