令和4年 东北大学総长 年頭所感(2022.1.4)

明けましておめでとうございます。
2021年は2020年に引き続き新型コロナウイルス感染症が世界を覆った年でした。変异株が流行し、医疗のひっ迫を始め社会がさらに试された年でもありました。幸い国を挙げたワクチン接种などが功を奏し、日本の年末年始の感染状况は、世界各国と比べてコントロールされたものであったと言えます。本学も、病院が中心となって体制を整え、5月24日から东北大学(宫城県?仙台市)ワクチン接种センターを开设し、大学拠点接种も并行して进めました。延べ52万回にのぼる接种を行ったことになります。10月初旬には、本学全构成员の87%が2回目の接种を完了し、それ以降キャンパスでの感染报告はありません。警戒を怠らないようにしながら、「东北大学ビジョン2030」とその改订版「コネクテッドユニバーシティ戦略」で描いた本学の姿に向け、取り组みのレベルをさらに上げていきたく思います。
さて、本学は今年創立115年周年を迎えます。加えて、法文学部が設置され文理をカバーする総合?学としての歩みを始めて100年の節目にもあたります。歴史的に積み重ねてきた知の多様性と世界に開かれた価値観を基盤として、東日本大震災から10年余、復興の羅針盤となり駆動力となってきました。この経験は、私たちが総合研究大学の新たな地平を切り拓き、自身のアイデンティティとして確立するための土壌でもあります。私たちは、SDGs、コロナ後のグレートリセット、カーボンニュートラルなど、人類社会共通の課題に挑む総合研究大学として発展していきます。その姿を示すために2021年には"Green Goals Initiative"を宣言し、豊かな未来の実現に向けた新たな一歩を踏み出しました。この新年を、私たち自身の変革に向けたターニングポイントとして、东北大学の新たな未来を設計する年にしていきましょう。
それでは本学の未来に向けたシステムはどのようにあるべきでしょうか。
これまで本学は「研究第一」「門戸開放」「実学尊重」の理念を掲げ、社会を先導する人材の育成と新たな価値の創出に取り組んできました。「研究第一」は、本学の土台が世界的に卓越した研究にあること、提供する教育や社会との共創活動のバックボーンにも世界的研究があり、それが社会からの信頼の源泉であることをうたっています。また「門戸開放」は、今の言葉で言えばダイバーシティーです。日本のジェンダーギャップ指数や国際化指標が低迷する中、本学はグローバルスタンダードの参画度をもって社会を先導し、バックグラウンドによらず多彩な才能が活躍できる機会を拡充する使命があります。最後に、「実学尊重」は新たな社会価値の創造にほかなりません。本学では、Green Goals Initiativeのもと、骨太の産学共創をオンキャンパスで進める共創研究所や、自治体と連携するスーパーシティ?スマートシティ構想、さらには社会の課題解決を先導するスタートアップなど、社会に開かれた共創が進展しています。自然災害やパンデミックなどの予測困難な事象への対処、カーボンニュートラルや人口問題など人類社会の在り様そのものに関わる課題解決には、科学を社会に取り込み、多様なステークホルダーとともに未来価値を共創する大学の力、すなわち「実学尊重」が求められています。
このような多様な役割を果たす研究大学には、価値の创造に构成员が専念できるシステムが必要不可欠です。世界を代表する研究大学は、研究教育を担う教员の数と同程度以上のスタッフを拥するケースが多く、教员は教员にしかできないことに集中できる仕组みを作っています。误解を恐れずに言えば「ジョブ型」の仕组みのもとで动いているのです。社会の要请に応えて本学构成员が持てる力を発挥するには、さまざまな业务や会议を融通无碍にこなす「メンバーシップ型」から、研究や教育に集中できる「ジョブ型」にシステムを変えていかなければなりません。また、事务系?技术系职员、専门性の高い鲍搁础や特任教员などの皆さんが、大学を支え発展させる主体として活跃できる环境も整える必要があります。
本学は、その长い歴史の中で、大学の仕组みにアドホックな改良を重ねてきたために、必ずしも合目的的な组织や业务のあり方とは言えない面が目立ってきています。全体设计を见直しオーバーホールをする时期に差し掛かっているとも言えるでしょう。构成员が卓越した研究や教育、そして革新的な社会価値创造にそれぞれの立场で集中できる大学としての体制づくりが求められています。このようなシステムによって、本学は社会の要请に応えて机能を拡张する「成长する公共财」として一层の発展を遂げるものと考えます。社会に开かれた诸活动を通して自由度の高い経営资源を获得するとともに、それを本学が长期的な视点から重视する人材育成や基盘的な学术分野の振兴、さらには必要な大学机能の强化に充てていく、この循环を速やかに起动しなければなりません。スタートに必要な资源は大学债の発行や大学ファンドの活用などを想定すべきです。しかし、最も重要であるのは、私たち自らが大学のシステムを変革していくという决意と行动変容であると考えます。
私たちの活动は、自然や人间への理解を深めること、得られた知见を活用し応用すること、それらを総合した「総合知」によるより大きな社会的课题を解决に导くこと、そしてこれらの活动を通じた人材育成と、多岐にわたっています。これらの卓越した価値创造の営みを一层深めるために、东北大学の未来に向けた変革にともに取り组み実现していきたく思います。
令和4年1月4日
东北大学総长