2023年 | プレスリリース?研究成果
【TOHOKU University Researcher in Focus】Vol.025 統合日本学センターの船出
本学の注目すべき研究者のこれまでの研究活动や最新の情报を绍介します。
东北大学統合日本学センター 副センター長?デジタルアーカイブ研究ユニット長
加藤 諭 准教授(史料馆) 东北大学統合日本学センター 研究?国際展開ユニット長
クレイグ?クリストファー 准教授(大学院文学研究科)

左から|クレイグ クリストファー 准教授、加藤 諭 准教授
2023年10月、东北大学に统合日本学センターが新设されました。その构想と目标を加藤さんとクレイグさんに伺いました。
东北大学にはすでに、大学院文学研究科の日本学専攻と大学院国際文化研究科の国際日本研究講座に加え、教育プログラムとして日本学国际共同大学院(Researcher in Focus Vol.004参照)、研究クラスターとして日本学国際研究クラスター、国際的な日本学のネットワークとして支仓リーグという取り組みがありました。そこでは国際的に活躍できる研究者の養成、新たな日本学の构筑に向けた研究の蓄積、そしてそれをグローバルに展開するためのネットワークの構築を目指してきました。
统合日本学センターは、これまで东北大学が筑いてきた実绩の上に、従来からの人文学研究のみならず、データ駆动型研究の知见や方法论を统合することで、日本学の枠组みを大きく拡张し、世界的な研究ネットワークの构筑を目指します。そのために、学内に个别に収蔵されている様々な学术资源のコンテンツをデジタル化して公开するためのプラットフォームとして、东北大学で立ち上げる、総合知デジタルアーカイブと连携します。これはまさに、文系の知と理系の知を融合させる総合知の构筑といえるでしょう。
新たな日本学の构筑
日本学とは、イコール日本研究ではありません。日本における従来の「日本研究」は、特定の関心事に関する緻密な深掘り型の実証研究が主で、ある分野の権威になることがゴールでした。それに対して、海外では新しい方法论や概念を设定したうえで行う独创的なアプローチが重视されます。これでは国际的な连携は成り立ちません。あるいは、国际的视点に立った日本学といえばエリア?スタディーズ(地域研究)の1つという位置づけで、视野が狭く、学际性が薄かったこともありました。
カナダ出身のクレイグさんは、若い顷にワーキングホリデイで仙台に1年间滞在した経験と、歴史に兴味があったことから大学で日本の近代史を専攻し、现在は宫城県北部の农村の歴史を研究テーマの1つにしています。
そのクレイグさんによれば、日本学をめぐるそうした膠着状態を打開すべく、新しい日本学の構築が5年ほど前から始まったそうです。たとえば1つの切り口が「The Long 1960s (長い60年代)」です。これは、1955年から1975年の間に世界各地で起こった社会変革がその後の歴史にどのような影響を与えたかを探る学際的な研究テーマです。日本学にもこの視点を取り入れる動きが始まっています。その当時の社会運動を物語る公開資料のデジタル化が内外ですでに始まっているといいます。たとえば当時の社会状況がよく似ているイタリアと日本で、相互の研究成果を持ち寄り比較検討することで国際的な共同研究が成立します。
加藤さんは、総合知デジタルアーカイブの构筑を主导しています。加藤さんによれば、大学附属図书馆には狩野文库や漱石文库のデータベースがすでに存在していますが、海外の研究者も活用できる国际标準の仕様に整えて公开する必要があるそうです。あるいは、デルゲ版チベット大蔵経を始めとする贵重な仏典を多数収蔵していますが、デジタル化は进んでいません。さらには、工学系の技术史として贵重な资料も、関係部局の保管库に眠ったままの状态です。加藤さんは、革新的なデジタル技术や础滨(人工知能)の技术を活用し、点在する学术资料の大型デジタルアーカイブを构筑して公开することで、データ駆动型研究と人文学研究の统合が、グローバルな规模で展开されていくはずだと期待しています。
目指すは人文知の统合
国际プラットフォームである支仓リーグには、2023年现在、18カ国30の大学が参加しており、なおも拡大中です。このネットワークを活用し、これまでシンポジウムや国际会议、国际ワークショップを展开してきました。その支仓シンポジウムでは、「ふるさと」「世直し」「奈落」などといったテーマが取り上げられてきました。この点でも、东北大学が志向する「日本学」が既成概念に囚われていないことがわかります。このようなテーマ设定をすることで、日本研究をしていない海外の研究者や国内の分野外の多様な研究者の招请が可能となります。そもそも东北大学では、日本学をオール文系で推进してきた経纬もあります。
统合日本学センターでは、海外からも日本研究の若手及び中坚の研究者を招聘し、将来的には10~15名の専任研究者が常驻する予定です。国际アドバイザリーボードには海外のトップクラスの研究者の参加が见込まれています。また、研究成果を広く公表するための国际誌や书籍を、海外の大学出版局から発行する计画もあります。
人文学は今、新たな使命を帯びつつあります。世界を袭った新型コロナウイルス感染症パンデミックは、様々な问题を投げかけました。社会のグローバル化、情报化が进む中で、逆に人间性や个々人のアイデンティティが问い直されています。科学知が生み出したこのような状况に、これまで筑かれてきた人文知はどう答えるのか。反科学でもなく、反知性でもない新しい総合知が求められています。统合日本学センターは、この问题意识に対応するための研究拠点でもあるのです。
文責:広報室 特任教授(客員) 渡辺政隆

2022年9月30日开催の支仓サミット

2022年10月2日支仓サミット参加者による岩手県平泉への研修旅行
関连リンク
- TOHOKU University Researcher in Focus Vol.004 日本学のグローバルな展開ー蛸壺からの脱却ー
- TOHOKU University Researcher in Focus ウェブページ
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